太陽肛門工房 ;紹介と歴史(topに戻る)

太陽肛門工房とは?(text by Nozaki Yoshifumi-film director)

 太陽肛門工房は、ストレス系歌謡プログレバンド「太陽肛門スパパーン」、癒し系しみじみフォークグループ「THEヒメジョオン」、、資本主義と帝国主義者によって満たされたイメージとロマンの欺瞞を指弾し、黒く塗られたプロレタリアートのイメージの荒野を目指して穴を掘る最強映像制作集団「シネシネ団」,等を擁する埼玉見沼代用水沿いにひっそりと佇まっている作務衣のfunky(臭く汚い)なおっさんおばさんたち【+ヤングマン】が出入りする工房である。
 現代資本主義社会の矛盾と哀しみを、活写するのみならず、その変革の主体となるべく日々修行と活動の日々を送っている。


 工房全体を統括するのは、作詞・作曲・編曲・歌・ギター・指揮とマルチな才能を発揮している花咲政之輔(aka黒俵権造)。

 過去現在未来工房と協働したしているするだろう芸術家として、星野源・大橋トリオなどでその真っ黒かつgroovieな鍵盤プレイを披露している村山同志、絶妙のドライブ感覚でバンド・サウンドを支えるベースプレイヤー矢野伸行、渋さ知らズや藤井郷子オーケストラでもその素晴らしい音色を聞かせているマルチリード奏者の泉邦宏、日本若手ジャズギタリスト期待の新星としてパスコワールプロジェクト他で活動中の平井庸一、高橋保行(トロンボーン)、辰巳’小五郎’光英(トランペット、テルミン)、関口綾華(トランペット)、小泉邦男(トロンボーン)、旧橋壮(サックス/フルート)、安田マッスル善貴(ギター・歌・制作)・佐山智英(ドラムス・「烏頭」他)・中原康仁(ドラムス)・ミスターラマーズ(トランペット・フリューゲルホルン)・加藤直喜(トランペット・「笹口騒音オーケストラ」「ハッチハッチェルオーケストラ」他)・ブラジリアンサックスの第一人者浅川宏樹(サックス)・RCサクセション等の名演で知られるレジェンド梅津和時、日本を代表するパーカッショニスト岡部洋一、Mr.Groove中條卓、若手コンシャスラッパー№1なみちえ、本邦最コンシャスラッパーのDARTHREIDER,MCbkdn,新宿・北沢そして世界のヘアスタイリスティックスaka中原昌也、日本左翼音楽界の北極星 竹田賢一、深谷の80’sレジェンド蔦木俊二、東京アンダーグラウンド界の自撮りプリンス内田典文クン(ベース・PA)、広島のおかっぱ貴公子bass溝辺隼巳・下北沢キザリ界から無事生還を果たしたRockerこばゆみ、ブラジリアンサックスの第一人者浅川宏樹 等々、二十代後半下北帽子系サブカル男の私(野崎)としては卒倒しそうな面子ではある。

 そして2018朝霧ジャムから、コンポステラ/ストラーダ等の名演で知られるレジェンド中尾勘二が戦列に加わり更にパワーアップしているのは皆さんご承知の通りだ。

 中尾勘二さんは、若き花咲が日本における左翼芸術運動のあり方について試行錯誤を重ね苦吟していた時、大いなる刺激・ヒント・勇気をもらった反天皇制テント劇団「風の旅団」;そして天皇主義右翼によって二人の監督の命が奪われたドキュメンタリー映画「山谷ーやられたら、やりかえせ」に参加して素晴らしい演奏を展開している。今尚天皇主義右翼が跳梁跋扈するのみならず、若年層中心に保守化が進んでしまっている現在、左翼芸術運動の再構築・再合流・統一行動は急務である。そんな中、中尾勘二さんと太陽肛門工房の合流は今後につながる非常にうれしい話だった。 私は感動のあまり、朝霧高原で号泣しました。笑った後で。

 2019年フジロックフェスティバルから、日本ジャズ界のレジェンドドラマーともいえる藤井信雄さん(ex.坂田明トリオ、林栄一MAZURU,デートコースペンタゴンロイヤルガーデン、椎名林檎、UA等)も参加、グルーブの屋台骨を支えてもらっている。 自他共に認めるオーネットフリークの花咲が、若き日感涙を流しながら聞いていた林栄一MAZURUのドラマーでもあり、数多くの名演をものしている藤井さんの参加により、太陽肛門スパパーンは新たな高みへと深化進化を遂げた。 

2021年から、世界を代表するスーパーサックス奏者の林栄一さんとのコラボもスタート、全世界の音楽ファンの度肝を抜いた。

 まぁ、資本制社会の根源的な苦しみの中で苦吟する日本の優秀な芸術家達がしっかりと共にろくろを回しているのデス。

 [大宮のフランクザッパ〕の異名をとる「太陽肛門スパパーン」は、ライブ、演奏会のコンセプト次第でメンバーを多彩に変化させ、 ジャズ、ファンク、ハード・ロック、フォークなどが入り乱れたサウンドを駆使し、縦横無尽に既成のジャンルを飛び越えてみせる。一方、多くのステージやアルバムでスパパーンと共演している「ザ・ヒメジョオン」は、アコースティックにこだわった五臓六腑に染み渡るフォークを奏でる。動と静、太陽と肛門、正反対の魅力を持つ二つのグループが呼応したステージを体感した者は、嫌悪感を露わにしながらもなぜか次のライブにも足を運んでしまう。
 太陽肛門スパパーンは「郊外問題」と「女子高生」をテーマにした『馬と人間』(タワーレコード新宿店が選ぶ日本の名盤100選に選出)、「アメリカ帝国主義ブッシュ政権の不当無道なイラク侵略・虐殺を許さない!」というスローガンを掲げた『テロリストブッシュと人間』など、その時々の社会状況に対する強い問題意識の下に音楽活動を展開している。

 また、井土紀州監督の映画『レフトアローン』と『ラザロ』の音楽や吉田良子監督『ともしび』の音楽を担当し、映画界との繋がりも深い。特に代表の花咲は多数の映画上映イベントにゲストとして呼ばれ、井土紀州氏はもちろん七里圭氏・松江哲明氏など名立たる映画監督たちとトークショーで共演。いつしか「トークショー番長」の異名を持つようになる。 花咲が木村文洋監督作品「愛のゆくえ(仮)」の音楽を担当し、最近流行の経団連御用達感をサブカル臭でぼやかす女「前田敦子」らと臭いコンビで東京国際映画祭のグリーンカーペットを歩いたのも記憶に新しいところではある。

 そして、2013年に新たに太陽肛門工房に加入した新進気鋭の映画監督・楫野裕の映画『世界にひとつだけの花』では、同名楽曲の製作の他、花咲はプロデューサーと主演を務め上げた。食や原発問題に鋭くメスを入れたこの作品は、太陽肛門工房員たちが総出演し、ファンにはたまらない映画となった。

 2019年には初MV「なんもなく、クリスタル」「のり子ラップ’15」を花咲政之輔・しじみ・中尾勘二の主演、楫野裕監督により制作、国内外で大きな話題を呼んでいる。また、2021年には「円谷幸吉と人間」のリリースに合わせ、東京オリンピック反対の思いを込めて、松浦祐也を主演にMV「東京おらんピック」をリリース。全世界のオリンピックに反対する心ある人々のアンセムとなった。2022年には松浦祐也・和田光沙を主演にMV「時間・場所・存在<すべて・豚野郎」もリリース。天皇制廃絶とオリンピック廃止を願う全世界の心ある人民の感涙を誘った。

2017年と2019年にはフジロックフェスティバルに出演、2018年には中尾勘二さんと合流を果たし朝霧ジャムに出演、今後積極的に全国のフェスで「楽しく踊って苦しく討論!Don't Feel,Think!」を旗印に、その衝撃パフォーマンスを披露してくれることだろう!私含め毛糸帽子フェス男子は期待でわくわくしています。

2021年8月11日に2枚組LPレコード「円谷幸吉と人間」をリリース。(先行シングル「東京おらんピックcw時間・場所・存在<すべて」も同年7月にリリース)梅津和時、岡部洋一、中條卓、なみちえ、DARTHREIDER,MC bkdn,ヘアスタイリスティックスaka中原昌也、竹田賢一、蔦木俊二等 豪華ゲストを招いた万華鏡のような音世界は大きな反響を呼んでいる。(了)

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太陽肛門スパパーン/プロフィール

花咲政之輔(歌・ギター)を中心に、「フランクザッパの社民的限界を左から乗り越える」ことを旗印に東京西部にて結成。
 その後平井庸一(ギター)・中尾勘二(サックス・トロンボーン・ラップ)・藤井信雄(ドラムス) 等様々な人士を糾合し、ライブ毎/録音毎にコンセプトに応じてメンバー召集する不定形ユニットとして活動しているストレス系歌謡プログレバンド。
 1998年CD 「馬と人間」を発表。高校生記子の視点から日本社会の腐敗を活写したこの作品は、タワーレコード新宿店日本の名盤100選に選出されるなど幅広い支持を獲得。 2015年CD「河馬と人間」を発表、福島原発事故から透けてみえてきた日本社会の構造的腐敗をアラサ-女子の視点で批判的に活写。2021年にはオリンピック反対の思いを込めた二枚組LPレコード「円谷幸吉と人間」を発表。梅津和時(サックス)、岡部洋一(パーカッション)・中條卓(ベース)・DARTHREIDER(ラップ)・なみちえ(ラップ)・竹田賢一(ノイズ大正琴・叫び)・ヘアスタイリスティックスaka中原昌也(ノイズ・叫び)・蔦木俊二(ギター)等 豪華ゲストと共に発表した本作は国内外で大きな反響を呼んでいる。
 楽しく踊って苦しく討論、面白くてためになるバンドとして全国各地のイベントに呼ばれることも多い。
 あなたも太陽肛門スパパーンを体験し、Don't Feel! Think!

ザ・ヒメジョオン/プロフィール

癒し系フォークユニット。太陽肛門スパパーンのライブにコバンザメのように付き従い、太陽肛門スパパーンライブで生じたストレスを癒しもみほぐす。また単独ライブ/録音なども積極的に行っている。

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●境界が溶けてゆく
――太陽肛門スパパーン『馬と人間』について
                                 阿部嘉昭

●ザッパと偽史と盆栽ー太陽肛門スパパーンについてー(雑誌「ユリイカ」所収論文) 阿部嘉昭

2015年度鮎川信夫賞を受賞した批評家の阿部嘉昭さんが以前立教大学及び早稲田大学第二文学部で拙作「馬と人間」を題材に講義を行った講義草稿&雑誌「ユリイカ」所収の「ザッパと偽史と盆栽ー太陽肛門スパパーンについてー」をご本人の許諾を得てアップします。

皆さんとの討議の素材として。

不当にも代表花咲を立ち入り禁止処分にした早稲田大学当局の脆弱な包囲網をかいくぐって半年間 阿部さんの講義助手を花咲が努めたのはGoodな出来事でした。

【境界が溶けてゆくーー太陽肛門スパパーン「馬と人間」について】は「平成ボーダー文化論」(水声社)にも収められています。

境界が溶けてゆく――太陽肛門スパパーン『馬と人間』について                                  阿部嘉昭(1/2)

境界が溶けてゆく――太陽肛門スパパーン『馬と人間』について                                  阿部嘉昭(2/2)

ザッパと偽史と盆栽  -太陽肛門スパパーンについて-(雑誌「ユリイカ」所収論文)                                                     阿部嘉昭

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